大学生の頃、山田ズーニーという人の授業でコミュニケーションについて学んだことがある。その中で同じ情報でも発信者によって異なる受け止め方をされる、ということを学んだ。
どうだろうか。NHKの方は、NASAや宇宙ステーションで何か新発見があったのかもしれない、等と思うだろう。一方、東スポはまたオカルト的な、ネタ的な何かでしょ、と感じるだろう。
さて、ここでもう一歩進んで、発言者がこれを利用する可能性を考えてみる。例えば、
証券アナリスト「株価はこれから下がるでしょう。」
床屋のおじさん「株価はこれから下がるだろうね。」
証券アナリストと床屋のおじさんで同じ発言だが、前者の方が何となく信憑性があるように感じる。
仮にこのアナリストの所属する会社が「債券投資」を主力商品にしていたら、あるいはアナリスト自身が債券を担当する部署にいるとしたら、どうだろうか。
株価が下がれば、または下げ相場になりそうであれば、リスクを取りたくない投資家の資金は債券に回る可能性が出てくる。そして、証券アナリストの発言を自分の運用に取り入れる投資家は多いだろう。
であれば、
「株価はこれから下がるでしょう。」
と投資家の不安な心理をそっと後押しすれば良い。しかも、相場のことだから多少曖昧にして、2・3のもっともらしい理由(米国の利上げとか、中国の株価暴落とか、ギリシャショックとか)をつけて解説すればあとで言い訳もできる。(そして困ったことに我々は過去の発言をあまり検証しない。)
これをポジショントークという。
世の中には投資の世界に限らず、政治にも日常生活にも多くのポジショントークが溢れている。人の意見を聞く際は発言者の立場・置かれている環境に注目し、安易に乗せられないように気をつけなければならない。