プライムニュースの過去動画で「シールズ」と「ママの会」が自民党の武見敬三氏と討論している動画を視聴した。また、「シールズ」の中核メンバーである奥田氏が出演したFNNの動画を視聴した。
※「プライムニュース」の方は動画が非公開となってもテキストで残すらしい。
※「ふかぼり」の方はいつまで視聴可能か不明。
今回は安保法制の内容や「シールズ」と「ママの会」がどういった組織かではなく、視聴して気になった「内輪ネタ」について書く。これは私が日々仕事で自分に感じていることでもあるし、別のところではオリンピックのエムブレム問題でも感じた。
「内輪ネタ」は「その人たちにとっての常識」と言い換えてもよい。
まず、上に挙げた動画では、発言内容が「内輪ネタ」、つまり「シールズ」や「ママの会」の賛同者には聞き慣れた主張なのだろうが、異なる立場の人にはわかりにくい説明が散見された。
例えば、前編の動画で武見氏が
「日本一国で日本国にむかってくるミサイルを撃ち落とすことは技術的にできない」「中国や北朝鮮が力による現状変更を明確に試みている」
という主旨の発言をした。これに対して「シールズ」のメンバーからの返答は
「個別的自衛権で対応可能ではないか」
という主旨の反論をした。が、「現実として日本一国では対応できない」という点については反論になっていない。
おそらく、彼らの中には
「AはBなので個別的自衛権の問題である」
「CはDなので日本が他国に戦争をしかけることになる」
という論理がなにかしらあるのだろうが、この「AはBなので」「CはDなので」という点がすっぽり省かれてしまっていた。おそらく彼らにとっては「常識」なので無意識に通じるものとして省いてしまったのだろう。
私はITインフラ系エンジニアであるため、専門用語など、その業界内では常識となっている用語をつい通じると思って使ってしまうことがある。
例えばネットがつながらない時、
「フロアスイッチで輻輳が起きているので、リブートしてます。」
と言っても、
「フロアスイッチ?」
「輻輳?」
「リブート?」
「っていうか、いつ直るの?」
と普通の社員の方は頭に?をいくつも浮かべて混乱してしまう。彼らが本当に知りたいのは
「どうやったらネットにつながるのか」
「どのくらいネットにつながらないのか」
といったことである。
先のエムブレム問題でも、
「一般国民にはわかりにくかったかもしれない」
という主旨の発言を記者会見で大会組織委員会の武藤氏がし、ネットでは反発が起きている。これはデザイン業界での「常識」が「一般国民」には通じなかったからだ。
我々はどうしても「自分の常識」が相手にとっても常識であると思い込んでしまったり、通じないことに気がつかなかったりする。
テレビやラジオ、新聞にはこういった「常識」をわかりやすく解説することも役割としてあると思うが、安保法制で「わかりにくい」という国民が多いことを鑑みると、十分できていないと思われる。
また、インターネットで直接情報に触れる機会が増えたため、「常識」を我々一人ひとりが解釈・理解しようと努めなければならない時代にもなった。
民主主義の基本は、正確な情報を民衆が手に入れ、各人がそれを元に意見を戦わせ、最後は多数決で決める、ということだ。発信する側にわかりやすく説明する努力が必要であることはもちろん、一方で、我々受け手側もただ口をあけて待っているのではなく、自分から率先して「常識」を解釈するように努めなければならない時代になったと感じる。