元ITインフラ系エンジニアの日記

元ITインフラ系エンジニアがITのことや投資のこと、コンサルのこと等を綴ります。

折り合いをつける力

経済雑誌で「下流老人」「老後貧乏」「中年フリーター」など、中高年を恐怖で煽るような記事が目に付く。

記事を読んでみると自己責任だろという思いと、こうなったら嫌だなぁという思いが頭の中を満たし、なんとも重たい気分になる。

 

記事に書かれているパターンはおおむね以下のようになる。

  1. 正社員からの転落パターン
  2. 金融詐欺にあって虎の子を失ったパターン
  3. 親の介護、自身の病気で医療費がかさむが働けないパターン

どれを読んでも未来への希望がなくて本当に暗い気分になる。

 

これらの記事では救いが無い。解決策がまったく提示されていない。取材して話を聞くだけ聞いて、愚痴を言わせるだけ言わせて、国や政府、自治体を批判するだけ批判して、編集者は何も解決策を提示しない。

 

記事を書いている人は心が痛まないのだろうか。転落人生を生きている彼らを使って商売してばかりで、彼らが利用できる制度や支援団体の紹介といったことはほとんど書かれていない(もっとも救済者が増えたらこうした記事が書けなくなり、飯の種が無くなってしまうという事情もあるだろうが…)。

 

事実を伝えることは確かに大事だが、事実だけを伝える雑誌に価値はあるのだろうか。

記事を書く際はかなり取材で労力を使ったのだろうと思う。一人の人生を数ページにまとめるのは大変だろう。その労力をもう少し使って、提言とまではいかないが、なんらかの見解を書いてもバチは当たらないと思うのだが。

 

結局、こういった類いの記事を読んで得るものは

  1. 若いうちから貯金しておけ
  2. 正社員の地位は軽々に手放すな
  3. 一旦世間のレールから落ちたら二度と浮上できない

といった暗〜い教訓となる。

 

と、ここまで貧困記事を批判するだけ批判したので、私なりに「下流老人」「中年フリーター」に対して解決策を提示したい。といっても、各個人の事情があるので、

「個別具体的なことについての答弁はできませんが、一般論としては」

というお役所答弁の但し書きつき、さらに

「私の乏しい頭の中で妄想した限りでは」

という言い訳をつけて提示する。

 

まず政府としてはマクロ経済環境を良くする、つまり好景気にすることが必要だ。景気が良ければ個人の環境が必ず解決する訳ではないが、解決する可能性が高まる。

不景気の中で「努力が足りない」と言うことは、椅子が一つしか無いのに1万人で椅子取りゲームをして、負けた人に対して「お前が負けたのは努力が足りなかったからだ」と言うのと同じである。

好景気であれば椅子が7千か8千、もしくは9千くらいになるだろう。そうした中で「お前は努力が足りない」と言われれば、まぁ1個の時よりは納得できる。ただし、「努力不足」だけで全てを説明できるわけではない。9千あろうとも、1千人は座れない。

 

さて、「下流老人」「老後貧乏」について解決策だが、以下の三つになる。

  1. 生活困窮者自立支援制度を利用する。
  2. 生活水準を下げる。
  3. 子供がいれば同居する。
  4. 高額治療は諦める。

政府からなんらかの支援を受けられるかを確認した方が良い。生活保護を受けるまでいかなくとも、生活困窮者自立支援制度を利用することができる。少なくとも相談はできる。ぶっちゃけ、これを利用するというのがまともな解決策だと思う。

 

さて、記事では大抵、月の生活費が15〜20万円以上となっている。高齢者は色々とお金がかかるのだろうが、ちょっと削れないのだろうかと思うことがある。どこを削るかは個々人の事情によるので触れない。

 

また、子供と同居することで家賃や光熱費、水道代、通信費などの固定費の削減ができる。これは子供と良好な関係を築いておく必要がある。一緒に暮らす前に「ボケたらこれで老人ホームに入れてくれ」と言って貯金全額を渡してしまうくらいやっても良いと思う。

 

最後に、「高額治療を諦める」だが、これは高額療養費制度でカバーされない部分は諦めるということだ。これは個々人の死生観にもよるし、いざ病気になるとなんとしても治したいと思うのは自然なことだ。

私もいざとなったら「もっと生きたい」と思うだろう。しかし、無い袖は振れない。

 

次いで「中年フリーター」について解決策を提示する。

これもまずは生活困窮者自立支援制度を利用することを検討するべきだ。

 

記事を読んでいて、自分のスキルと自分が働きたいと望む会社が求めているスキルがマッチしていないことが多い印象を持っている。また、現在の収入に対する生活水準も「収入<生活水準」となっていることが多い印象だ。

 

そういう場合は、「自分のやりたいこと」 で判断するのではなく、「できること」で判断するように頭を切り替える必要がある。

 

「できること」を中心に考え、自分の能力と会社のランクとの間で折り合いをつけなければいつまでたっても不幸なままである。

 

最後に、いつまでたっても週刊誌による「貧困記事」に目くじらをたてる私も、「そういう需要が世の中にあるのだ」と折り合いをつける必要があるのだろう。

 

生活困窮者自立支援制度の詳細

厚生労働省

www.mhlw.go.jp