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ITインフラ系エンジニアの日記

ITインフラ系エンジニアがITのことや投資のことなどを綴ります。

TPPの大筋合意_「食」に関して

TPP

先月、TPPの大筋合意が発表された。TPP亡国論やTPPによって国民皆保険制度が崩壊するとか、食の安全が脅かされるとか、色々な問題点が提示されている。

 

内閣官房に掲載されているTPP関連資料の「環太平洋パートナーシップ協定(TPP協定)の概要」という資料を見ると、思っていたよりも悪くない、という印象を受けた。もちろん、現時点では「大筋」合意で、TPPの詳細や国内法の審議が行われないと最終的に日本国民にとって良い物かはわからない。

 

TPPの意義や理念は以下の通りだ。(「環太平洋パートナーシップ協定(TPP協定)の概要」より引用

◆21世紀型の新たなルールの構築

- TPPは、モノの関税だけでなく、サービス、投資の自由化を進め、さらには知 的財産、電子商取引、国有企業の規律、環境など、幅広い分野で21世紀型のル ールを構築するもの。

- 成長著しいアジア太平洋地域に大きなバリュー・チェーンを作り出すことにより、域内のヒト・モノ・資本・情報の往来が活発化し、この地域を世界で最も豊かな 地域にすることに資する。

 

 

◆中小・中堅企業、地域の発展への寄与

 

- TPP協定により、大企業だけでなく中小企業や地域の産業が、世界の成長セン ターであるアジア太平洋地域の市場につながり、活躍の場を広げていくことが可 能になり、我が国の経済成長が促される。

- ヒト、モノ、資本、情報が自由に行き来するようになることで、国内に新たな投資を呼び込むことも見込め、都市だけではなく地域も世界の活力を取り込んでい くことが可能となる。

 

◆長期的な、戦略的意義

- 自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった普遍的価値を共有する国々とと もに貿易・投資の新たな基軸を打ち立てることにより、今後の世界の貿易・投資 ルールの新たなスタンダードを提供。

- アジア太平洋地域において、普遍的価値を共有する国々との間で経済的な相互依 存関係を深めていくことは、地域の成長・繁栄・安定にも資する。

 

日本国内では特に農協が反対運動を行っていた印象がある。食の安全問題と相まって、TPPによって国産の安全で美味しい食品がスーパーからなくなってしまうような印象があったが、それは間違っているように思える。理由は二つある。

 

一つ目は、消費者の立場が欠落しているからだ。

農協は生産者の利益を代表する団体のため、「高くて安全」な商品か「安くて粗悪」な商品を生産するかを選択する事となる。理想は「高くて安全」な商品をたくさん買ってもらうことだが、現実では「高くて安全」な商品は、たとえば高級料亭や三ツ星レストランなどにしか売れないし、「高くて安全」な商品を生産するには技術力と投資が必要となり、全員ができるわけではない。

一方、「安くて粗悪」な商品は生産コストを抑えて、スーパーやコンビニで多くの消費者に売ることができるが、薄利多売となる。

 

多くの生産者にとっては薄利多売でやっていた所に、外国から同じレベルの商品が無関税または低い関税で同じ陳列棚に並べられてしまい、売れ行きが鈍くなる事が想定される。

 

消費者は「値段」と「品質」を天秤にかけながら商品を選択している。多少高くても安全なら購入するし、多少品質が悪くても安ければ購入すると考えられる(個々人がどう行動するのかではなく、日本全国の消費者を平均すると、という話である)。

消費者にとって「選択肢が多い」というのはメリットとなる。「高くて安全」な商品しか陳列されていなかったら、家計は苦しくなる。あるいは、「安くて粗悪」な商品しか陳列されていなかったら、たまの贅沢が無くなってしまう。

 

かつてオレンジ自由化がなされたとき、みかん農家は反対運動をしたらしい。だが、みかんはスーパーから無くなっただろうか。また、さくらんぼでも同じ事が言える。さくらんぼはアメリカンチェリーに負けたのだろうか。

消費者としては、みかんもオレンジもさくらんぼもアメリカンチェリーも「選べる」というメリットが残ったことを忘れてはいけない。また、生産者が外国産との競争にさらされる結果、甘いみかんが、おいしいさくらんぼが生産される事となった。個人的には昔のすっぱい青みかんがなくなってしまったことは残念だが…。

 

消費者の立場からみると「自由化」や関税を低くすることはメリットが大きい。

 

そして二つ目は、TPPの関連資料を見るとどこにも食の安全基準をTPPで規定するとは書かれていない。書かれていない以上、現在の安全基準が適用されるということになる。もちろん、今後、変更する可能性が全くないという訳ではない。

 

内閣官房に掲載されているTPP関連資料は以下の通り。

TPP関連資料

 

また、政府の説明会がYoutubeに上がっていた。これを見ると交渉前・中に様々なメディアで議論されていた懸念点(ISD条項など)に対して、交渉担当者が十分対策を考えて交渉していたことが伺える。

 

www.youtube.com