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ITインフラ系エンジニアの日記

ITインフラ系エンジニアがITのことや投資のことなどを綴ります。

雑記

1

ある春の昼下がり、下人は青山を歩いていた。前に見合いしてから1週間ほど経ち、新たに仲人さんが選んだ人との日程調整を行った。仲人さんとはビルの中にある結婚相談所の事務所で会った。事務所のロビーには下人以外にも何人か男がいた。お互いあまり顔を見ないようにしてたが、一瞥したところでは、下人と同じかもう少し年上のようだった。

「前の方はお断りされていましたが、理由をもしよければ教えてくれますか?」
下人は「顔が… …」とは言えなかった。代わりに
「その前の方と比較してしまって、あまり気が乗らなかったのです。あと、話が合わなかったのです。」
「そうですか… …。前にご交際されていた方は新しい方と交際を始めました。女性はしたたかですね。Rさんも気持ちを切り替えて!」
肩をポンッと叩かれた下人は、仲人さんの態度が意外で呆気にとられていた。ネチネチしていない、あっけらかんとした仲人で良かったとも思った。

2

日程調整をした後、普段なら電車で帰るところを歩く事にした。家までは青山から約10kmである。道を調べると、道中に公園がたくさんあることがわかった。
(そう言えば花見をしていないな)

下人は歩けるところまで歩いて行こう、東京には駅が多いから大丈夫だと判断した。青山公園、六本木の毛利庭園、芝公園と東京タワー、名も無き小さな公園の数々。歩いていて飽きる事は無かった。どの公園、広場にも桜や赤白黄色のチューリップ、真っ白な花弁が規則正しく広がる中央に黄色が映えるひな菊、そのほかにも色とりどりの花々が咲いていた。
そして、その中を元気に駆け回る子供たち。子供たちを見守る親、ベンチに座るカップルももれなく居た。

下人は何度か立ち止まって桜の木を見た。太く黒々とした幹には苔が生していた。枝振りは力強く、白い花弁の中央にピンクの雌しべがびっしりと伸びていた。枝には青々とした葉がついており、春の終わり、初夏の始まりを告げていた。
桜はパッと咲いてパッと散る様が美しいとされているが、下人には散る前の花と葉がまじりあった様も美しいと思われた。