元ITインフラ系エンジニアの日記

元ITインフラ系エンジニアがITのことや投資のこと、コンサルのこと等を綴ります。

『成長株投資の神』(マーク・ミネルヴィニ著、山口雅裕訳)

2016年10月10日に内容の訂正をしました。誤った情報を書いてしまい、申し訳ございませんでした。

概要

読書録の記事を書くのは久しぶりだ。
今回は米国の成長株投資家たちが座談会形式で質問に答える『成長株投資の神』を読んだ。

成長株投資の神 (ウィザードブックシリーズ)

成長株投資の神 (ウィザードブックシリーズ)

この本はマーク・ミネルヴィニの下によせられた多くの質問に対して、デビット・ライアン、ダン・ザンガー、マーク・リッチー二世の4人がそれぞれ回答するものだ。冒頭に彼らの紹介がされているが、どの人も飛び抜けている。

目次と内容

本書は全11章で構成されている。

  1. はじめに
  2. 銘柄選択
  3. ポジションサイズ
  4. テクニカル分析
  5. ファンダメンタルズ
  6. 株式市場全般
  7. 仕掛けの基準
  8. リスク管理
  9. トレード管理
  10. 心理
  11. 最後に

インデックス投資を学んでいた当初はこういった類いの本は参考にならないと思っていた。しかし、今年に入ってからインデックス投資信託よりも個別銘柄のパフォーマンスの方が良いことから、興味を持つようになった。
色眼鏡を捨てて読んでみると、書かれていることは非常に具体的で、特にファンダメンタルズ(業績や財務状況)に注目している点は、ピーター・リンチの『株で勝つ』に近いものもあるように感じた。

----2016年10月10日追記
改めて読み返したところ、第5章ファンダメンタルズ質問5の1(p115)にて以下の記述があったので、上の斜線部分を訂正します。

  • 私は最初にチャートと長期のトレンドを見ます。(ミネルヴィニ)
  • 私はファンダメンタルズ面もテクニカル面も上昇トレンドにある銘柄を選びます。(ライアン)
  • まずチャートを見ます。(中略)ファンダメンタルズが良ければ、ある時点でチャートに反映されて、非常に良いパターンとなってい現れるはずです。(ザンガー)
  • 基本的なテクニカルの基準を満たしていなければ、ファンダメンタルズがどんなに良くても買おうとは思わないからです。(リッチー二世)

四人とも、企業の売上が投資家に認知され、その銘柄に対する需要が高まっていることを重要視している。市場が気づき始めた銘柄に上手く乗るというのが四人のスタンスだ。
一方、ピーター・リンチは業績が良ければいつかは市場に注目される、だから皆が気がつく前に(割安なうちに)買っておこう!というスタンスだ。

-----追記ここまで

特に参考になったところは「8.リスク管理」「9.トレード管理」だった。市場にさらす資金の管理や、損切りの逆指値、トレードの頻度については、インデックス投資家にも通じるところがあったと思う。例えば、インデックス投資家がよく言う、「生活防衛金」と似たような考えでリスクをとるお金の割合を決めていた。
尤も、ナンピン買いを絶対にしないという点についてはインデックス投資家とは立場が異なる。インデックス投資家は「ドル・コスト平均法」という手法を採用していることが多い。その場合、毎月基準価額が上がっていようが下がっていようが、決まった金額で購入する(結果として基準価額が下がっていれば、ナンピン買いになる)。
ミネルヴィニ達は違う。ナンピン買いは絶対にせず、損切りの逆指値に刺されば問答無用で売り、他の株に乗り換えたり、資金をマーケットから引いたりする。

また、インデックス投資家はあまり売りタイミングについて言及することは無く、あったとしても「お金が必要になったときに売る」というレベルだ。一方、ミネルヴィニ達は明確な売り基準を持っており、利益確定をためらわない。含み益があるうちに売ってしまうことも、彼らに取ってはリスク管理の一環である。

感想

本書は成功者がただその手法を自慢しているだけの「自慢本」ではない。あるいは再現性の無いチャートパターンだけに注目する投資法を紹介しているわけでもない。多くの具体的なヒントがちりばめられている。
損切りの基準の置き方であったり、市場へさらす資金管理であったり、彼らのトレードルールなどが具体的に書かれている。自分の投資スタンスを整理するのに非常に参考になった。

以前の記事では「配当があってそこそこの成長率の企業に投資」すると書いていたのに、ここ最近はいつの間にか「配当利回りが高い会社」ばかり選ぶようになってしまった。

ring-bell.hatenablog.com

しっかり反省して、損切りするものは損切りして出直しを図りたい。