元ITインフラ系エンジニアの日記

元ITインフラ系エンジニアがITのことや投資のこと、コンサルのこと等を綴ります。

『投資で一番大切な20の教え』(ハワード・マークス著、貫井佳子訳)

概要

今回は『投資で一番大切な20の教え』を読んだ。

投資で一番大切な20の教え―賢い投資家になるための隠れた常識

投資で一番大切な20の教え―賢い投資家になるための隠れた常識

この本の帯にはこうある。

世界一の投資家バフェット推薦
"ハワード・マークスからの「顧客向けレター」が届くと、私は何をおいても必ず真っ先に読むことにしている。本書は極めて稀に見る、実益がある本である"

世界一の投資家が真っ先に読む本ということで期待して読んだ。一読しただけでは理解できなかった部分が多かったので、二度三度と繰り返し読み、その意味するところを深く考えさせられる本だった。

感想

特に感銘を受けたのは「本質的価値」を見分ける重要性と16章の「運の影響力を認識する」という部分だった。

本質的価値については本書の中で繰り返し言及されており、これが投資における全ての土台であることを強く認識させられた。

運の影響については特に以下の文章が強く印象に残っている。

タレブは実際に起こったことは、起きる可能性があったことの小さな集まりにすぎないと指摘している。したがって、ある計略あるいは行動が(実現した環境下で)良い結果をもたらしたとしても、その背景にあった決断が賢明であったとは限らないのだ。(p238)

すぐれた決断というのは、論理的で知力に秀でた情報通の人が下した決案で、その時点、つまり結果がわかる前の段階において、すぐれているとみなされたものだ。(p239)

良いパフォーマンスをあげた投資家の決断が本当に賢明だったのかどうかを結果で判断してはいけない。その人が決断を下した時に持っていた情報から論理的に導きだされ、その当時、妥当であったかどうかが重要だ、ということだ。
たとえば、あるIPOで巨額の利益を出した投資家がいるとしよう。彼の出した「結果」はすばらしい。だが、彼の下した決断、IPO投資をするという決断、初日に売るという決断、が正しかったかどうかは、IPOに出された時点で彼が入手していた情報と当時の状況から判断しなければならない。

例えば彼が何となくIPOの抽選に申し込んだだけであれば、これはまったく運が良かったとしか言い用が無い。一方、IPOする会社の情報をネットや雑誌などで得ており、競合他社や市場、その会社の本質的価値などを考えた上で導きだしていたのであれば、間違いなくその決断は「正しかった」ということになる。
これは仮に損をだしていたとしても、あるいは投資そのものをしなかったとしても同じことが言える。

結果だけでその決断を判定することは危険と言うことだ。これは肝に銘じておこう。