リンチ基準と勝手に命名しているエントリー基準がある。Webで検索すると、「リンチ指数」という呼んでいるサイトが多かった。計算式はググればすぐに出てくるが、一応書いておく。
(成長率+配当利回り)÷PER
同じような式で、PEGレシオという指標がある。こちらの計算式は以下の通り。
PER÷成長率
検索してたどり着いたサイトでは、「どちらもほぼ一緒で、配当利回りを考慮するか否かの差しかない」と書かれていた。これの意味するところは?
前者では成長率をPERで割っていて、後者ではPERを成長率で割っている。要するに逆数の関係なのだが、分母と分子が異なるということは何を意味しているのだろうか。
その答えに行く前に、式に使われている項目について確認する。
PERは株価をEPSで割ったもの(PER=株価÷EPS)だ。分母に来ているEPSは、純利益を発行株式数で割ったもの(EPS=純利益÷発行株式数)だ。つまりEPSは1株あたり純利益となる。
このEPSは
といった使い方がある。
株価はEPSとPERを掛けたもの(株価=EPS×PER)だ。PER=1のとき、株価=EPSとなる。上場している株式は競争売買なので、売り手から見ると、PER=1よりもPER=2、PER=2よりもPER=3、…とより高値を付けた価格から売っていきたい。買い手からみると、PER=10よりもPER=9、PER=9よりもPER=8、…とより安値で買いたい、といったことになる。
このように、会社の稼ぎ出す利益の何倍まで出せるのか、ということを皆で頭をひねり、売買している。
PERは期待度と言える。何に対する期待かというと、企業の成長性ということになる。リンチ指数もPEGレシオも過去の成長率と期待度を比較し、その度合いを定量的に見ている。
成長率は過去の事実、PERは将来への期待となる。当然、PERは誤っていることがある(その場では正解でも、後になって行き過ぎていたと言われることがある)。つまり、これだけを以って、株価が割安か割高かを判断するのは危険だ。
定量的な視点に加えて、定性的な視点も必要になる。リンチの言葉を借りれば、「成長ストーリ」ということになる。
バリュー投資では、この「定性的な視点」こそが腕の見せ所となり、私が怠ってきたことである。
ではこの視点をどのようにして鍛えるのか。