元ITインフラ系エンジニアの日記

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『名著で読む 日本史』(渡辺昇一)

 

名著で読む日本史

名著で読む日本史

 

 日本史の勉強をするにあたって、何を読んだら良いのか迷っていたとき、近所の図書館でたまたま見つけた。

 

本書は古代、中世、近世、近現代の四区分でそれぞれ四冊の名著、日本を理解する上で必読書と呼ばれる書物の紹介を行っている。紹介されている書物はいずれも学校で耳にしたことがある物がほとんどである(時代が進むに連れてあまりなじみのない書物が出てくるが、これは学校で近現代史をまともにやっていなかったからだろう)。

 

本書は「通史」を意識している。冒頭の「序にかえて」では、現在の日本史は「古代史」「戦国史」など、ある期間で区切られた時代の専門家たちがそれぞれの得意分野をパッチワークしたものであり、全体を貫く「通史」の観点が不足していることを指摘している。

 

昨今の憲法議論が今ひとつわかりにくいものになっているのは、日本人に共通した「歴史観」「国家観」が欠如しているからなのかもしれない、と感じた。

憲法とは「国体」と「憲法典」から成る。今の日本は「憲法典」の議論は盛んだが、「国体」、つまり日本はどういう歴史・文化・伝統を持った国家であるのか、という観点がぽっかりと抜け落ちている。

ぜひ、安倍総理憲法改正の発議をする際には、些末な条文や表現にこだわるのではなく、「国家観」を示して欲しい。また、そのときに自分も理解できるようになっていたい。