本書は日本近現代史を学ぼうと思って近所の図書館で本を探して見つけた。
倉山氏は憲政史家を名乗り、インターネット上で倉山塾やチャンネルくららを運営している。非常に話し方が上手く、動画を見ると引き込まれる(ただし、ネタ要素も多いので、ネタを知らないと魅力が半減してしまう)。
さて、本書では「中国に「近代」などない。あるのは古代と殺戮の中世だけだ」と主張し、「中華四千年」(最近は五千年になったらしいが)の「嘘」、王朝興廃のパターン、中国の権力者が持つ思考パターンを整理している。その中で、支那事変以降、日本の対応ミス、戦後から現在までの日中関係について分析している。
中国の王朝興廃パターンは以下の通りだ。
一、新王朝成立
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二、功臣の粛清
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三、対外侵略戦争
(負けても良い。政争の敗者の口減らしなので)
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四、漢字の一斉改編と改竄歴史書の作成
(この段階で時々、名君出現)
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五、宦官・官僚・閨閥など皇帝側近の跳梁
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六、秘密結社の乱立と農民反乱の全国化
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七、地方軍閥の中央侵入
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一に戻る。注・時々逆行したり、飛ばします。
中国の権力者は常に外交を内部の権力闘争に利用する、という視点は現在の中国にも当てはまるだろう。今後、日本は中国とどのように付き合っていくべきなのか、について著者は明示していないが、私の考えは以下になる。
- 他の関係国と良い関係を築いてから中国と対応する。
- 日本一国で中国と向き合ってはならない。
- 中国で内乱が起きたら全く関わらないか、主流派、反主流派の両方に手を貸す。
なお、本書のレビューをネットで検索すると、史実に誤りがあるという指摘が上がっている。この点に付いて、私は検証していない。が、改めて特定の人からの情報に依存してはいけないと感じた。