元ITインフラ系エンジニアの日記

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『バリュー投資 アイディアマニュアル』(ジョン・ミハルジェビック著 井田京子訳)

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バリュー投資アイデアマニュアル ──得意分野を見極めるための戦略の宝庫 (ウィザードブックシリーズ)

バリュー投資アイデアマニュアル ──得意分野を見極めるための戦略の宝庫 (ウィザードブックシリーズ)

自分の投資方針・方法がかなり揺らぎ、方針も手法も定まらずにフラフラしていた。ここらで整理する必要がある。何か指針が欲しいと思って購入した。

本書は9つの投資戦略・手法が紹介されている。この本とピーターリンチの『株で勝つ』では各章の末尾に「まとめ」が書かれている。これは非常に親切なことである。一読して理解しにくかった部分も、端的にまとめられており、再読した際に非常に助けになる。

ここに紹介されている投資戦略・手法をまるまるコピーすることは、技術的にも時間的にもできないが、参考になるポイントはたくさんある。 ※ただし、著者がアメリカ人のため、全てが日本の事情に適合するかと言えば怪しい部分もある。

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私は現在、「配当利回りの良い会社」に絞って購入することを考えている。その際まず重要になるのが、「配当がある方が儲かるのか、それとも無い方が儲かるのか」という点だ。この点については以下のように述べられている。

ここでは資本利益率を控えめに10%とした。最適な資本配分をすれば投資家のリターンがかなり高くなると言うことに注目してほしい。今回の例では、もし企業が主駅をすべて留保すれば、投資家のリターンは資本利益率と同じになる。反対に、もしすべての収益を配当に回せば、投資家のリターンは株を買った価格に対する収益率であり、この場合は20%となる。
この比較は、現金をそこそこの事業に再配分するよりも、株主に還元することの重要性を浮き彫りにしている。
p44

無配当でそこそこの成長率であるよりかは、配当があってそこそこの成長率の企業に投資した方が儲かるという事である。

次に問題となるのは「減配はあり得るのだろうか」という点である。これについては、以下のような指針を示してくれている。

尺度1—株の所有
幹部が普通株を所有していることが、株主と同じ動機を持っている事を最もよく示す尺度になると思う。
もしCEOにとって、報酬よりも自社の株の変動の方が自己資産に与える影響が大きければ、経営者とs知恵だけではなく、株主としても行動するはずである。ダニエル・グラディスは、同族会社に投資する主な理由は動機だと指摘する。
「もしある家族が資産の半分とか4分の3を自分の会社に投資していれば、おそらく3〜4年でいなくなる雇われ経営者よりも熱心に事業を運営するでしょう」
p173

日本の企業には

  1. 一族経営が大株主
  2. 創業者が大株主
  3. 親会社が大株主

という企業がゴロゴロしている。「1」「2」の場合、生活費の大半は経費で落とせるかもしれないが、経費で落とせない支出や資産を購入するには配当金による収入が不可欠であろう。「3」の場合は減配や無配当にすることは親会社に対しての裏切り行為となるので滅多な事が無い限りしないと考えられる。
したがって、「そこそこの成長をしていて、配当を出し、大株主が関係者」という企業を選んでいく事になる。

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有名投資家の後を追う方法、隠れ資産を持った企業に投資する方法、国際的なバリュー投資、などさまざまな手法が紹介されている。
優秀な人の考え方を知る事は得にこそなれ、損になる事はない。